私の妖精
私の家の前は林になっています。
そのうち何かが建ってしまうでしょうが、
いまは都合の良いことにまるで私の庭の様です。
そこには、様々な鳥・犬・猫・蛇・蛙・虫・人間などが出没します。
その中でも私のお気に入りは小鳥で、色々な種類のものが素敵な声で鳴いて楽しませてくれます。

その林l中で小鳥と一緒にフルートを吹くのも、なかなか気分の良いものです。
〔林の中でフルートを吹く美少年?〕何かフランス印象派の絵画を見ている様で、
想像するだけで爽やかな風が吹いてくる様に感じませんか?

C・ドビュッシーの作曲した「シリンクス」と言う名曲があります。
「シリンクス」とは「パンの笛」のギリシャ名で、
ギリシャ神話に出てくるニンフ(妖精)の名前で、
「パンの笛」のパンとは、フランスパンのパンではなく、
あの半分馬の様で半分人間(逆に想像しないこと)の「牧神」で、
その笛は色々な長さの葦を並べて吹くやつで、
モーツァルトの有名なオペラ「魔笛」の中で
パパゲーノが吹いているやつです。
〔あ一疲れた〕
とにかく、ギリシャ神話では、こんな話だそうです。

牧神がニンフに一目惚れをしてしまいました。
牧神はその思いをニンフに打ち明けるのですが、
色よい返紙をもらえないばかりか、嫌われてしまいました。
ニンフはあんな奴と一緒になるぐらいならと、
葦に身を変えてしまいました。
それをたいそう悲しんだ牧神は、その葦にそっと口ずけを・・。
すると、その葦は素晴らしい音を出したので、
それ以来、牧神はニンフの事を偲んでその笛を吹いたのでした。

・・・この手の話は人類の永遠の課題ですね。
恋の病に冒された者は、すべての情報に敏感に成り、
少しの音や些細な言葉等に大きく反応します。
それは、塞がりかけた傷口に衝撃を与えるようなものです。
この曲の色彩の変化やドラマ性は非常に繊細で、
まさに恋をしている貴女や私にとって、
他人事とは思えないのです。
淡い透過光がさす広い林の澄みきった空気の中を、
相手に対する想いである音がどこまでも響き渡っている、
・・・・・・・・・・・・。
これ以上は、涙無しでは語れません??。
「神様!・・私は一生この曲を吹きませんので、この恋を何とかして下さい・・・」
神様でなく、”魔弾の射手”の様に悪魔ザミエルと契約を・・・・・・・・??
そう言う問題では無いでしょうね・・。たぶん。
明るく別の努力をしましょう・・。

いずれにぜよ、身体の中から出た空気は、フルートの中で妖精に生まれ変わります。
その妖精には、色々な性格の者がおり、これは面自いことに今フルートを吹いているあなた自身で、
さしずめ私が吹いたなら少し太めの・・。更に悪いことに性格までもがそっくり。
でも、少々出来の悪い妖精でもこの中問色の光の中では、
連続したシャポン玉の様にすがすがしく椅麗に輝き、そして、広い空間の枝や葉っぱの間を、
まるで異次元の世界であるかの様に、様々な速さと角度で時間を越え、軽やかに駆け巡るのです。
貴方の妖精も、この素晴らしい世界に連れていってあげませんか?
きっと無くしそうな恋も、無くした恋も戻ってくるかも・・・・・・・・・・・・。
牧神の無くした恋はどうなったのでしょうか・・・・・・・。
女の人

==おっと・・・
つい、入り込んでしまいました。このお話は自分で作り直したり設定を変えると面白いですよ。
余談ですが、そのイメージに、給食を食べた後の五時問目、窓際でうとうとしながらHな事を考えている、あの、何物にも替えがたいけだるい気持ちをミックスすれば「牧神の午後ヘの前奏曲」と、なるのでしょうか・・・?
(こんなことを書かなければ良いのに・・・
それに象徴詩を書いたS‐マラルメと作曲をしたドピュッシーには怒られるなァ・・・)

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