kenさんのよがり笛2 2002/04/26 第 59号 近くの山はモクモクと木々の新緑包まれ その勢いが火山の噴火の煙の様に見えました。 本当に色んな緑がありますね。 何事も勢いというものはすごいです。 あれから数日で田圃に水が入り その水面は空の色や風景を写して綺麗です。 夕方の散歩では暮れ行く空が 白く水面に反射して別世界の様に・・・。 景色は刻々変化しその変化にも心動かされます。 本当に美しい・・・。 こんな身近な景色で感動できる私は 本当に安上がりな人でしょう・・あはは 材 料 昔、先輩と村松フルートに見学に行った時、 プラチナのフルートを作っていました。 それの色はスチール椅子のハイプの様な光沢で、 安物の洋白(ニッケルと銅の合金)のフルートの様でした。 その楽器は故森 正(指揮者・フルーティスト)の為に作っていると聞いた。 当時金のフルートを持っているのは吉田先生とランパルぐらいしか 知ら無かった私にとってプラチナは更に遠い存在に思えた。 丁度その頃、エドガー・ヴァレーズ(1883-1965 Edgard Varese)の 「比重21.5」と言うプラチナのフルートの為の曲を銀の楽器で練習していた 私には非常に興味が有った。 その「比重21.5」と言うプラチナのフルートの為の曲は ジョルジュ・バレールがプラチナの楽器の吹きぞめの演奏会の為に委嘱し 作曲されフルートの曲の中でも重要な分岐点に有る。 そんな経緯が有ったとしても材料が曲の題名に成っている曲は珍しい・・。 でも、単純にその曲を吹く時に比重が10.5の銀とか19.3の金では無く、 「比重21.5」のプラチナで吹くとどんな音に成るのでしょうね?。 幾つか疑問と私の考えを出してみました。 皆様も考えてみて下さい。 ●その曲を吹く為にはプラチナのフルートでなければ成らないのか? どんなフルートでも良いと思うのです。 比重の重い材料であるとそれなりの音がしますが・・・。 フルートの歴史の中で材料はどんどん高価に成って行きます。 木製のフルートの時は象牙が使われたり、 金属のフルートになってから銀の楽器・・ それから金・・・プラチナ・・・・。 どうして、段々高価な材料になるのでしょう? ●本当に高価な材料は音にとって良いのでしょうか? それぞれの材料のどの特性が、 音の何に係わるかはここで一言では言えませんし、 第一、良いとする基準が人によってまちまちであります。 私も黒檀、洋白、銀、14k、18kの楽器を持っていますが。 好みは必ずしもこの順番ではないのです。 ●洋白で作った場合と銀で作った場合では値段はどの様に違うか? ハンドメイドのコストに占める材料費の内訳・・詳しくは解りませんが 洋白で作った場合と銀で作った場合では殆ど値段は変わらないでしょう。 これは重要です・・・ ひょっとしたら洋白の方が音が良いかもしれません。 でも、何故作らないのでしょうか? 個人的には真鍮も良い音がすると思います。 しかし、誰も作りません? (根拠は、昔、真鍮のフルートが有った・・) ●縦笛の材料(プラスティック?)で作った時の音は? 良く鳴ると思います。イメージとしては好みでは有りませんが・・。 高価な材料でなければ高く売れないのかもしれません。 プラスチックの笛にベンツと同じ値段を出す人がいれば作るかもしれない? (イメージの根拠は縦笛・・・はは)(鳴りと音色は別問題です) ●材料が良ければ良い音が出るのか? 良く聞く質問ですが、 これはめちゃくちゃな質問です。 良い材料とは何か・・これが解りません。 良い材料と言うより、 自分の求めている音を出しやすい材料か?と言うべきでしょう。 つまり、音を求めて材料を選ぶと言うことです。 と言う訳で、楽器を作る上で材料は重要な問題なのです。 材料によって音色が異なるのは事実なのです。 だから、オカリーナを作る時も粘土を選ぶのは重要な作業なのです。 (・・・ええ?上のほうでなんとなく否定的であったが・・・) はは・・混同してはいけません。 今お話しているのは楽器を作る話し・・・。 上のほうで話したのは音楽をする話し。 これを混同しないで下さい。 これを混同すると・・・ ●良い楽器(高い楽器?)を買うと上手く成るのか? と言うめちゃくちゃな話になるのです。 ・・・そんな気がするのです。 貴方が金の楽器を買ってもほんのチョット音が変わりますが。 しばらくすると元のままである事に気が付くはずです。 簡単ですね・・・。 変わったのは貴方ではなく楽器であるから・・・。 ただ、楽器としての性能が良い楽器によって上手くなる事や、 今まで出来なかった事が出来る様に成る事は有るのです。 まだ有る勘違い・・・・。 ●金の楽器でしたら何でも良いのか? 金に含まれている不純物の種類。 本体に使用する金の厚さ。 パイプの作り方。 加熱の方法、時間など。 加工硬化の状態。 仕上げのメッキの種類その方法。 ハンダのつけ方。 上記の事項を含めた・・・ いわゆる作りの上手い下手及び設計。 これらの条件によって・・・変わってきます。 色々、難しい事を言ってきましたが、 材料が音色を決める範囲や要因は単純な物では無い、 と言う事を知っていただければ十分なのです。 そして、フルートの神様である故マルセルモイーズは プラチナでも金でも総銀製でもなく 蚤の市で買った銀の頭部管と本体は洋白の楽器です・・。、 その音は心に染入る音です。 もっとも大切な物はそれを演奏する人の問題・・・。 楽器はあくまで道具です。 あくまで道具ですが、 それを作るのも心がいるようです。 どんな料理を乗せるのかイメージを持って 器を作った・・北大路魯山人 最近解る気がする・・・。 Copyright (C)All Rights Reserved. -- mail
kenさんのよがり笛2 2002/04/26 第 59号 近くの山はモクモクと木々の新緑包まれ その勢いが火山の噴火の煙の様に見えました。 本当に色んな緑がありますね。 何事も勢いというものはすごいです。 あれから数日で田圃に水が入り その水面は空の色や風景を写して綺麗です。 夕方の散歩では暮れ行く空が 白く水面に反射して別世界の様に・・・。 景色は刻々変化しその変化にも心動かされます。 本当に美しい・・・。 こんな身近な景色で感動できる私は 本当に安上がりな人でしょう・・あはは 材 料 昔、先輩と村松フルートに見学に行った時、 プラチナのフルートを作っていました。 それの色はスチール椅子のハイプの様な光沢で、 安物の洋白(ニッケルと銅の合金)のフルートの様でした。 その楽器は故森 正(指揮者・フルーティスト)の為に作っていると聞いた。 当時金のフルートを持っているのは吉田先生とランパルぐらいしか 知ら無かった私にとってプラチナは更に遠い存在に思えた。 丁度その頃、エドガー・ヴァレーズ(1883-1965 Edgard Varese)の 「比重21.5」と言うプラチナのフルートの為の曲を銀の楽器で練習していた 私には非常に興味が有った。 その「比重21.5」と言うプラチナのフルートの為の曲は ジョルジュ・バレールがプラチナの楽器の吹きぞめの演奏会の為に委嘱し 作曲されフルートの曲の中でも重要な分岐点に有る。 そんな経緯が有ったとしても材料が曲の題名に成っている曲は珍しい・・。 でも、単純にその曲を吹く時に比重が10.5の銀とか19.3の金では無く、 「比重21.5」のプラチナで吹くとどんな音に成るのでしょうね?。 幾つか疑問と私の考えを出してみました。 皆様も考えてみて下さい。 ●その曲を吹く為にはプラチナのフルートでなければ成らないのか? どんなフルートでも良いと思うのです。 比重の重い材料であるとそれなりの音がしますが・・・。 フルートの歴史の中で材料はどんどん高価に成って行きます。 木製のフルートの時は象牙が使われたり、 金属のフルートになってから銀の楽器・・ それから金・・・プラチナ・・・・。 どうして、段々高価な材料になるのでしょう? ●本当に高価な材料は音にとって良いのでしょうか? それぞれの材料のどの特性が、 音の何に係わるかはここで一言では言えませんし、 第一、良いとする基準が人によってまちまちであります。 私も黒檀、洋白、銀、14k、18kの楽器を持っていますが。 好みは必ずしもこの順番ではないのです。 ●洋白で作った場合と銀で作った場合では値段はどの様に違うか? ハンドメイドのコストに占める材料費の内訳・・詳しくは解りませんが 洋白で作った場合と銀で作った場合では殆ど値段は変わらないでしょう。 これは重要です・・・ ひょっとしたら洋白の方が音が良いかもしれません。 でも、何故作らないのでしょうか? 個人的には真鍮も良い音がすると思います。 しかし、誰も作りません? (根拠は、昔、真鍮のフルートが有った・・) ●縦笛の材料(プラスティック?)で作った時の音は? 良く鳴ると思います。イメージとしては好みでは有りませんが・・。 高価な材料でなければ高く売れないのかもしれません。 プラスチックの笛にベンツと同じ値段を出す人がいれば作るかもしれない? (イメージの根拠は縦笛・・・はは)(鳴りと音色は別問題です) ●材料が良ければ良い音が出るのか? 良く聞く質問ですが、 これはめちゃくちゃな質問です。 良い材料とは何か・・これが解りません。 良い材料と言うより、 自分の求めている音を出しやすい材料か?と言うべきでしょう。 つまり、音を求めて材料を選ぶと言うことです。 と言う訳で、楽器を作る上で材料は重要な問題なのです。 材料によって音色が異なるのは事実なのです。 だから、オカリーナを作る時も粘土を選ぶのは重要な作業なのです。 (・・・ええ?上のほうでなんとなく否定的であったが・・・) はは・・混同してはいけません。 今お話しているのは楽器を作る話し・・・。 上のほうで話したのは音楽をする話し。 これを混同しないで下さい。 これを混同すると・・・ ●良い楽器(高い楽器?)を買うと上手く成るのか? と言うめちゃくちゃな話になるのです。 ・・・そんな気がするのです。 貴方が金の楽器を買ってもほんのチョット音が変わりますが。 しばらくすると元のままである事に気が付くはずです。 簡単ですね・・・。 変わったのは貴方ではなく楽器であるから・・・。 ただ、楽器としての性能が良い楽器によって上手くなる事や、 今まで出来なかった事が出来る様に成る事は有るのです。 まだ有る勘違い・・・・。 ●金の楽器でしたら何でも良いのか? 金に含まれている不純物の種類。 本体に使用する金の厚さ。 パイプの作り方。 加熱の方法、時間など。 加工硬化の状態。 仕上げのメッキの種類その方法。 ハンダのつけ方。 上記の事項を含めた・・・ いわゆる作りの上手い下手及び設計。 これらの条件によって・・・変わってきます。 色々、難しい事を言ってきましたが、 材料が音色を決める範囲や要因は単純な物では無い、 と言う事を知っていただければ十分なのです。 そして、フルートの神様である故マルセルモイーズは プラチナでも金でも総銀製でもなく 蚤の市で買った銀の頭部管と本体は洋白の楽器です・・。、 その音は心に染入る音です。 もっとも大切な物はそれを演奏する人の問題・・・。 楽器はあくまで道具です。 あくまで道具ですが、 それを作るのも心がいるようです。 どんな料理を乗せるのかイメージを持って 器を作った・・北大路魯山人 最近解る気がする・・・。
Copyright (C)All Rights Reserved. -- mail